2016年3月19日土曜日

神々の山嶺・・・神は死んだ。


 シネマ!シネマ!シネマ!
 
 ということで、友人の汎猫氏と夢枕獏の傑作山岳小説「神々の山嶺」の映画を見た。

 原作小説は見ていない。
 漫画は見たがリアルタリムではなく文庫版である。
 漫画化においては「孤独のグルメ」を描く谷口ジローが作画を担当した。
 
 谷口ジローの筆力を以って漫画化された「神々の山嶺」は第5回文化庁メディア芸術祭マンガ部門・優秀賞を受賞している。
 谷口ジロー作品の傑作の中の傑作の一つであろう。
 
 映画の感想は後ほど・・・


 近所のバス停から名古屋駅直行バスに乗って、ミッドランドスクエアへ向かう。
 雨上がりの枯れた雑草も、その内に緑に変わるであろう。 

   MS-OPTICAL APOQUALIA 35mmF1.4 + M240



 雨は止んでいた。
 しっとりした空気も温かい。春ですな。

   MS-OPTICAL APOQUALIA 35mmF1.4 + M240



 やけにナウいガリバーだ。

   MS-OPTICAL APOQUALIA 35mmF1.4 + M240



 汎猫氏と待ち合わせて映画館に向かおう。

   MS-OPTICAL APOQUALIA 35mmF1.4 + M240



 その前に鳩を撮る。

   MS-OPTICAL APOQUALIA 35mmF1.4 + M240



 鳩です。
 綺麗に並んでいるが、やはり上のが偉いのだろうか?

   MS-OPTICAL APOQUALIA 35mmF1.4 + M240


 さて、この後、汎猫氏と合流して映画を見たわけだが・・・
 はっきりと言って退屈な映画であった。
 原作から映画に改変するために、登場人物のキャラクターをいじりすぎである。
 2時間では描ききれないのは仕方がないが、改変の仕方が非常にマズイ。

 そもそも、神々の山嶺の主人公は、孤独な天才クライマー「羽生 丈二」である。
 羽生は社会性が奈落のように欠落しており、日本ではまともな生活も、職も得ることができず、それどころかネパールに不法滞在し、無許可で登山するので完全な犯罪者である。
 アウトローの中のアウトローであるが、羽生は粗雑な無法者ではない。

 それどころか、少年のように傷つき易く純粋な一面を持つ。
 羽生は純粋な登山家であるがゆえに、それ以外の全てを犠牲にすることができる。
 山をやるために、仕事を捨て、女を捨て、子供と妻を捨て、最後には命まで捨て、山に挑む。
 羽生は誰にも理解されない山への激情の持ち主であり、そうであるがゆえに孤立し、孤独の果てに”まともな人生”を破棄して、全てをエヴェレスト冬季南西壁無酸素単独登山という、前人未踏の偉業に捧げる。
 それが物語の背骨であり、第二主人公の「深町 誠」がそれを見届ける形で展開する。 

 そういうストイックな修羅の求道者である羽生が全然、描ききれていない。
 であるがゆえに、話が盛り上がらない。
 平凡な生活を送り、日々の生活に汲々とする普通人である観客が・・・それを守るためにアレコレ苦労している観客が、そうしたものを自ら投げ捨て、一顧だにもせず、山岳登山という常人には理解しがたい価値観に人生と命を捧げる羽生に痺れてくれないといけないのだ。 

 そのために、漫画版では話の前半に、延々と羽生がこれまで人生で捨ててきたものを描く。
 これでもかというぐらいに羽生の社会不適合者っぷりを描く。
 同時に、羽生の超人的な登山技術を描いて、読者をメロメロにしてくれる。
 そうした積み重ねの上に、エヴェレスト登山のとき羽生の行動や選択に熱い重みが帯びてくるのだが、映画ではそうした羽生の過去は10分かそこらで終わってしまう。
 いや、それじゃなんも分からんだろと。
 で、漫画版では殆ど描写されない、どうでもいいことに10分も、20分も使ってしまうのだ。
 これでは盛り上がりようがないじゃないか。
 
 第二の主人公の深町は、なんか妙な熱血漢というか濁った感じのキャラになっている。
 あんたは見届け役なんだから、もっとさっぱりとした透明感あるキャラじゃないと駄目なんだが、尺の都合か知らんが、キャラが違いすぎて違和感しかない。
 原作で、深町のポジは変遷がある。
 最初はセンセーショナルな記事を書きたいが故の出歯亀であり、情報収集を重ねることで羽生への人間的な興味に移り、最後は羽生の偉業を間近で見て、それを伝えたいという伝道者的なポジへ昇華されるのが、映画では最初から最後まで金のためにやっているようにしか見えないのだ。
 いや、そんなキャラ付いらねーから。
 原作では、深町は金に汲々とするシーンなんて全然無いのだ。
 それが借金がどうのこうのと、キャラが濁るだけである。
  
 岸 涼子もキャラが違っているし、原作では絶対に言わないようなセリフいうし、何のために存在しているのか全然分からない。
 岸は現在では、山に向かって文句言うような人物では絶対ないのだ。
 命をかけた愚行(エヴェレスト登山)に向かう男に、行ってもいいのよと送り出す人物なのだ。

 だが、映画では深町が死にかけると、急に訳のわからん命は大事~的な甘っちょろい被害者的な、なんというか口にするにも憚るような腐ったセリフを羽生が人生を捧げて挑んだエヴェレストに向かって吐きかけて、大いに幻滅させてくれる。

 いろいろ語ってみたが、とにかくいろいろ駄目である。
 笑うしかない。

 笑って見上げた空は青かったよ。
 ああいう酷いものを見ると何か青いものが見たくなる。

   MS-OPTICAL APOQUALIA 35mmF1.4 + M240



 写真を撮りながらイエネコカメラへ向かう。

   MS-OPTICAL APOQUALIA 35mmF1.4 + M240



 映画の悪口を言い合いながら昼飯を食べた。
 APOQUALIAは距離計連動しないが近接最短55cmであり、テーブルフォトもこなせる。

   MS-OPTICAL APOQUALIA 35mmF1.4 + M240




 走れ~走れ~はたらくくるーまー!
 黄色い救急車もカモンベイビー!
 春だから。

   MS-OPTICAL APOQUALIA 35mmF1.4 + M240



 鏡の中で踊りませんか。
 踊れませんな。

   MS-OPTICAL APOQUALIA 35mmF1.4 + M240



 いつも職場に向かう道を歩いてイエネコカメラへ向かう。

   MS-OPTICAL APOQUALIA 35mmF1.4 + M240



 桜も咲きかけてますな。
 でも、まだちょっと早いと思う。

   MS-OPTICAL APOQUALIA 35mmF1.4 + M240



 イエネコカメラにてルートビアを飲んで、口直しに漫画版神々の山嶺を読む。
 ルートビアというのは薬みたいなコーラのことです。

   MS-OPTICAL APOQUALIA 35mmF1.4 + M240



 さて、帰るか。
 逆光でもF5.6、SS750。ISO200。

   MS-OPTICAL APOQUALIA 35mmF1.4 + M240


 今日はこんなところで




 

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