2016年7月18日月曜日

旧八百津発電所



 可児市に発電所の廃墟?があると聞いてやってきた。
 廃墟というか、正確には重要文化財である。

 

 旧八百津発電所である。
 天気は悪いが・・・なぁに、却って開放撮影がはかどる。
 レンズは古いものを撮るということで、新しいオールドレンズMS-OPTICS APOQUALIA-G 1.4/35を持っていくものである。

   MS-OPTICS APOQUALIA-G 1.4/35


 
 さて、この発電所、どのようなものかというと水路式という方法で水車を回して電気を作るものである。
 普通の水力発電所というとダムがあって、貯めた水を放水するときの動きを利用して・・・
 というのを思い浮かべるが、これは川の上流にトンネルを掘って、水を導水してその水流を利用するということをやっている。
 なぜ、そんなことをやっているかといえば、ダムは自然破壊だから・・・
 ではなく、木曽川の流れをせき止めると筏を組んで材木を流せなくなるからで、林業>>>>>発電所という経済的な優先順位によるものである。
 
 とはいえ、明治後半になると重工業化待ったなしで、優先順位が発電所>林業になり、ダム建設が進むわけで、大正13年には大井ダムが完成する。

 この発電所はその流れに乗れなかった物件であり、完成(明治44年)と同時に旧式化待ったなしであった。
 しかも、設計ミスやら機材のチョイスにも問題アリアリで、難工事で死人が出て工期延長の上、完成して試験したら水車が吹き飛ぶとか、なかなか酷い。


 それを克服していくことで国産技術の発展に寄与した・・・と案内にあったのですが。
 さすがにそれはねぇよと言いたい。
 はっきり言おう、それは間違いである。
 明治44年に日本全国で水力発電所が20箇所も完成しているのである。翌年にも全国で15箇所も水力発電所が完成する。
 当時、この手の水力発電所は日本全国でガンガン作られていたのだ。
 電力需要が増大し、確実なリターンが見込めるからみんながガンガン投資して、どんどん最新技術が開発されていったのである。

 よって、このダメな子を弄り回して改造手術を繰り返した黒歴史が、日本の国産技術に発展に寄与したというのは無理がある。
 ものすごく大変だった、苦労したというのは理解するが、だからといって技術が発展したなんて、考え方はナンセンスだ。
 苦労が報われたと思いたい気持ちはわかるが、苦労したから成長したはずという考え方は無駄に苦痛や苦役を他人に強いることになるので、私は好かない。
 好かないというか、有害無益である。
 釈迦も、苦行で悟りにいたれなくて、スジャータに乳粥をもらって一息つけてから悟ったのだ。
 いずくんぞ、凡人が何をいわんやである。

 だが、日本人はこの考え方が割と好きな方だ。
 自分が他人にそうした考えたかを押してつけていないか、常に自省していこうと思う。


   MS-OPTICS APOQUALIA-G 1.4/35



 とはいえ、被写体としては美しい。

   MS-OPTICS APOQUALIA-G 1.4/35




 窓辺に流れる木曽川が雄大すぎて困る。

   MS-OPTICS APOQUALIA-G 1.4/35



 構図ありきで

   MS-OPTICS APOQUALIA-G 1.4/35



 
 この直後、タヌキと遭遇した。
 耳を澄ませると明らかに鳥やセミ以外の動物の鳴き声が聞こえる。

   MS-OPTICS APOQUALIA-G 1.4/35


 周囲を散策すると昭和19年製の鉄橋があった。
 太平洋戦争のとくに敗色濃厚な時期にこのあたりに橋を設けるというのは、要するにここが大日本帝国にとって優先されるべき場所であったことを意味する。
 ちなみに、零戦を作るのにジェラルミンを使うのだが、これはアルミ合金であり、アルミの精錬には莫大な電力が必要だった。
 要するに、そういうことである。

   MS-OPTICS APOQUALIA-G 1.4/35



 まぁ、いまは昔の話。
 あたりの建物は自然に押しつぶされ、消えゆくのみである。

   MS-OPTICS APOQUALIA-G 1.4/35



 これはちょっと離れたところにあった。

   MS-OPTICS APOQUALIA-G 1.4/35



 自動販売所である。
 残念ながら、中身はすでに撤去され空っぽであった。

   MS-OPTICS APOQUALIA-G 1.4/35



 今日はこんなところで









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